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総評:

 

大きな問題はありません。なじみのない分野の翻訳に取り組むにあたって、関連する英語参考資料を読んで理解し、翻訳に生かすスキルがある、と思います。

 

そこかしこに、原意から少し外れる訳があると思いましたので、修正案を示してあります。これは翻訳のうまさを見るための課題ではありませんので、流暢さだけをめざすような修正は避けたつもりです。が、正しい解釈をめざした結果、翻訳が流暢になることは、よくあることです。

 

高度な話題でも、一般に、英語書籍での説明は、同じレベルの知識を伝える日本語書籍よりやさしいものです。やさしい英語を、やさしいままに理解できることをめざして、毎日少しずつでも、何らかの原書を読んでください。

 

以下、修正案を示すにあたっては、まずパラグラフごとコピーし、文字の色を灰色にし、修正後の箇所を青でハイライトしました。その下に、必要に応じて紫で解説を入れました。修正前の箇所は、元のパラグラフで赤でハイライトしました。

 

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7座標参照系

 目的:座標参照系の理解

 キーワード:座標参照系(CRS)、地図投影法、オンザフライプロジェクション、経度、緯度、偏北、編東

 

概要

 

地図投影法は地球の表面や、地球の一部を平面の紙の表面やコンピュータスクリーンに描写を試みるものである。座標参照系(CRS)は座標を用いて地理情報システムに2次元で投影された地図がいかに地球上の実際の地点に関連しているかを定義するものである。どの地図投影法や座標参照系を使用するかを決定するのかは、処理を行う地域範囲や、どのような分析を行うかにかかっており、また、データの有無にもよく影響される。

 

地図投影法の詳細

 

地球の形状を表現するための伝統的な方法は地球儀を使用することである。しかしながら、この対処方法には問題点がある。地球儀は多くの地球の形状を維持し、大陸サイズの地形の空間的な構成を例示しているが、ポケットに入れて持ち運ぶには大きな困難が伴う。これらはまた非常に小さなスケール(例.1億の1)で使用する場合にのみ便利である。

地球の形状を表現するための伝統的な方法は地球儀を使用することである。しかしながら、この対処方法には問題点がある。地球儀は地球の形状の大部分を維持し、大陸サイズの地形なら、その大きさや位置関係をほぼ正しく示してくれるが、ポケットに入れて持ち運ぶには大きな困難が伴う。これらはまた非常に小さなスケール(例.1億の1)で使用する場合にのみ便利である。

一般的に地図情報システムのアプリケーションで使用される主題となる地図のデータのほとんどは相当大きなスケールである。一般的な地図情報システムのデータは25万分の1よりも大きなスケールで、詳細さのレベルにより異なる。このサイズの地球儀は作成するには困難で大きすぎ、持ち運ぶにはさらに困難である。結果として、地図製作者は、適切な正確性を持って球状の地球を2次元にあらわすように設計された地図投影法と呼ばれる一連の技術を開発した。

 

地球を近くから眺めると相対的に平らに見える。しかしながら、宇宙から眺めると、地球は相対的に球状に見える。地図作成の話題をこれ以降見ていくわけだが、地図というものは現実の表現であることがわかる。地図は地形だけではなく、地形の形状や空間的な配置を表現するようにデザインされている。それぞれの地図投影法には長所もあれば短所もある。地図の投影に最適なものは地図の縮尺や、使用目的により異なる。たとえば、ある投影はアフリカ大陸全体を地図化する時には受け入れがたいゆがみがあるかもしれないが、ひとつの国の大きな縮尺の(詳細な)地図に使用するには優れているかもしれない。地図投影法の特質は地図デザインの何らかの特徴に影響を及ぼす可能性もある。ある地図投影法は小さなエリアに適しており、また別のものは東西に大きく広がるエリアを地図化するのに適しており、また、あるものは南北に大きく広がるエリアを地図化するのに適している。

地球を近くから眺めるほど平らに見え、地球から離れて眺めるほどに球状に見える。地図作成の話題をこれ以降見ていくわけだが、地図というものは現実の表現であることがわかる。地図は地物だけではなく、地物の形状や位置関係を表現するようにデザインされている。それぞれの地図投影法には長所もあれば短所もある。ある特定の地図にどの投影法が最適かは、その地図の縮尺や使用目的により異なる。たとえば、ある投影はアフリカ大陸全体を地図化する時には受け入れがたいゆがみがあるかもしれないが、ひとつの国の大きな縮尺の(詳細な)地図に使用するには優れているかもしれない。地図投影法の特質は地図デザインの何らかの特徴に影響を及ぼす可能性もある。ある地図投影法は小さなエリアに適しており、また別のものは東西に大きく広がるエリアを地図化するのに適しており、また、あるものは南北に大きく広がるエリアを地図化するのに適している。

 

 

3つの地図投影法ファミリー

 

地図投影法の作成過程は、不透明な地球の地形が配置された透明な地球儀の内側に光源を配置することにより視覚化される、そして、地形の輪郭を2次元の平らな紙の上に投影する。投影方法にはさまざまあり、地球儀を円柱形や、円錐形、さらには平らな表面で取り囲むことにより作り出される。これらの方法は地図の投影ファミリーと呼ばれるものを作り出している。それゆえ、平面図法ファミリー、円筒図法ファミリーと円錐図法ファミリーと呼ばれるものがある(図51参照)。

地図の投影過程は、透明な海と不透明な陸地をもつ地球儀の中心に光源を置いた様子を思い浮かべるとよい。そして、地形の輪郭を2次元の平らな紙の上に投影する。投影方法にはさまざまあり、地球儀に円筒を巻きつける、円錐をのせる、あるいは平面をのせるなどの方法がある。これらの方法は地図の投影ファミリーと呼ばれるものを作り出している。それゆえ、平面図法ファミリー、円筒図法ファミリーと円錐図法ファミリーと呼ばれるものがある(図51参照)。

 

 

513つの地図投影法ファミリー。これらはa)円筒図法、b)円錐図法、c)平面図法である。

 

地図投影法の正確性

 

地図投影法は決して球状の地球を絶対的に正確に表すものではありません。地図投影法の過程の結果において、すべての地図は角度の一致、距離、面積にひずみを生じます。地図投影法はこれらの特徴のいくつかを併せ持っている場合もあり、また、ある程度受け入れられる範囲内で、面積や、距離、角度の一致のすべての特徴をひずませる場合がある。妥協的投影の例にはWinkel Triple投影やRobinson投影(図52参照)があり、世界地図を表すのによく使用される。

地図投影法は決して球状の地球を絶対的に正確に表すものではありません。地図投影の過程で、すべての地図は角度の一致、距離、面積にひずみを生じます。地図投影法はこれらの特徴のいくつかを併せ持っている場合もあり、また、ある程度受け入れられる範囲内で、面積や、距離、角度の一致のすべての特徴をひずませる場合がある。妥協的投影の例にはWinkel Triple投影やRobinson投影(図52参照)があり、世界地図によく使用される。

 

 

52Robinson投影は面積、角度の一致、距離において妥協していますが容認可能である。

52Robinson投影は、面積の正確さ、角度の一致、距離の正確さのそれぞれについて、容認できる範囲で妥協した結果である。

 

 

地図投影法において同時にすべての特徴を保つことは一般的に不可能である。正確な分析作業を行いたいとき、分析に最適な特徴を持った地図投影法を使用する必要があることを意味している。たとえば、地図上で距離を計測する必要がある場合、高精度な距離を提供する地図投影法をデータ用に採用するように努めるべきである。

 

角度が一致する地図投影法

 

地球儀で作業している場合、方位図の主要な方向(北、東、南、西)は常にお互いに90度の位置に存在する。言い方を変えれば、東は常に北の90度の位置にある。正しい角度特性を維持すれば地図投影法上でも同様に保たれる。角度の一致の特性を維持する地図投影法は等角投影または正角図法と呼ばれる。

地球儀で作業している場合、方位図の主要な方向(北、東、南、西)は常にお互いに90度の位置に存在する。言い方を変えれば、東は常に北の90度の位置にある。正しい角度特性の維持は地図投影においても可能である。角度の一致の特性を維持する地図投影法は等角投影または正角図法と呼ばれる。

丸い地球儀では当然のことながら角度特性は(距離特性、面積特性も同様だが)保たれる。平面を相手にする地図投影においてはどうなのか。その問いに答えるのが上記の青い部分。原文の Maintaining correct angular properties can be preserved on a map projection as well. はちょっと変です。preserved ではなく achieved ならわかります。

 

これらの投影は角度の関係の維持が重要なときに使用される。一般的に航海業務や気象業務に使用される。地図上で正しい角度を維持することは大きな範囲の場合においては困難で、地球上の小さな部分のみで試みられるべきであることを覚えておくことは重要である。等角型の投影が面積のひずみとして表れ、それがもし面積の計測が地図上で行われたことを意味するならば、それらは不正確なものとなる。例としてはメルカトル図法(メルカトル参照図を参照)とランベルト正角円錐図法がある。アメリカ地質調査所は地形図の多くに等角投影を使用している。

これらの投影は角度の関係の維持が重要なときに使用される。一般的に航海業務や気象業務に使用される。地図上で正しい角度を維持することは大きな範囲の場合においては困難で、地球上の小さな部分のみで試みられるべきであることを覚えておくことは重要である。等角型の投影が面積のひずみとして表れる。つまり、もし面積の計測がその地図上で行われたならば、その計測は不正確なものとなることを意味する。カバーする領域が大きければ大きいほど、面積の計測は不正確になる。例としてはメルカトル図法(メルカトル参照図を参照)とランベルト正角円錐図法がある。アメリカ地質調査所は地形図の多くに等角投影を使用している。

meaning that ... の解釈が違います。

 

 

53:たとえばメルカトル図法は角度の関係が重要な場合に使用されが、面積の関係にはひずみが生じる。

 

距離が等しい地図投影法

 

地図を投影する目的が正しく距離を測定することであるならば、距離をうまく保つようにデザインされた投影法を選択すべきである。このような投影法は正距図法と呼ばれ、地図の縮尺が一定に保たれている必要がある。地図上において投影図の中央から他の場所への距離が正しく表現されているならば地図は等距離である。正距図法は投影図の中央からの距離や与えられた線分に沿った距離を正しく維持している。Plate Carree正距円筒図法(図55参照)と正距円筒図法が正距図法における2つのよい例である。正距方位図法は国際連合の紋章に使われている投影法である(図54参照)。

 

54:国際連合のロゴは正距方位図法を使用している。

 

55:たとえばPlate Carree正距円筒図法は正確な距離計測が重要な場合に使用されている。

 

面積が等しい投影法

 

地図が地図全体を描写し、その結果、描かれたすべての範囲がそれらの表す地球上の範囲と同じ比率関係を持っていた場合、その地図は正積図である。実際には、一般的に参照する地図や教育用の地図は正積図法の使用が最も広く求められる。名前が示すように、これらの地図は使用する目的が面積の計算であるときに最も使用される。たとえば、もし特定のエリアが新しいショッピングモールに十分の広さがあるかを分析しようとした場合に、正積図法はもっとも最適な選択肢である。一方では、他の図法よりも正積図法を使用すれば、より広いエリアを分析すればするほど、計測エリアはより正確になる。他方では、大きなエリアを取り扱う場合正積図法は角度の一致にひずみが生じる。正積図法を使用した時小さなエリアの場合は角度に生じるひずみはかなり少なくなる傾向がある。アルベルス正積円錐図法、ランベルト正積円錐図法、モルワイデ図法(図56参照)は地図情報システムでよく見かける正積図方法の種類である。

地図上に描かれた特定領域の面積と、それに対応する地球上の領域の面積の比率が、地図上のすべての領域で同じになるように描かれている場合、その地図は正積図である。実際には、一般的に参照する地図や教育用の地図は正積図法の使用が最も広く求められる。名前が示すように、これらの地図は使用する目的が面積の計算であるときに最も使用される。たとえば、もし特定のエリアが新しいショッピングモールに十分の広さがあるかを分析しようとした場合に、正積図法はもっとも最適な選択肢である。一方では、他の図法よりも正積図法を使用すれば、より広いエリアを分析すればするほど、計測エリアはより正確になる。他方では、大きなエリアを取り扱う場合正積図法は角度の一致にひずみが生じる。正積図法を使用した時小さなエリアの場合は角度に生じるひずみはかなり少なくなる傾向がある。アルベルス正積円錐図法、ランベルト正積円錐図法、モルワイデ図法(図56参照)は地図情報システムでよく見かける正積図方法の種類である。

A so that B構文「BとなるようにAを定める」を、しっかりと意識したい。 

 

地図投影法は非常に複雑な話題であることを覚えておく必要がある。世界中には何百種類もの異なる地図投影法があり、それぞれが地球表面の一定地域を平らな紙の上に可能な限り正確に描写できるように試みているのでる。実際には、最適なものを決めるために使用する投影法を選択するのである。データ交換のために多くの国々は一般的に使用される地図投影法を持っており、人々は全国的傾向に従うのである。

地図投影法は非常に複雑な話題であることを覚えておく必要がある。世界中には何百種類もの異なる地図投影法があり、それぞれが地球表面の一定地域を平らな紙の上に可能な限り正確に描写できるように試みているのでる。実際には、どの投影法を使うかで迷うことは、あまりない。データ交換のために多くの国々は一般的に使用される地図投影法を持っており、人々は全国的傾向に従うのである。

要旨: 何百もの地図投影法がある。では、あなたは、自分が地図を作るにあたって、どの投影法が最適かを、いちいち調べないといけないのか。そんなことはない。どの投影法を使うかという選択は、あなたがするのではなく、あなたにかわってほかの人がしてくれている。たいていの場合、あなたはそれに従えばよい(従わざるを得ない)。

 

56:例えば、モルワイデ図法は表示されているエリアは地球上のエリアと同じ比率関係を保証する。

56:例えば、モルワイデ図法は、表示されているエリアと、それに対応する地球上エリアとの面積比が、すべてのエリアで同じであることを保証する。

 

座標参照系(CRS)の詳細

 

座標参照系(CRS)によって地球上のあらゆる地点は座標と呼ばれる3つの数字によって特定されるのである。一般的にCRSは投影座標系(別名、デカルト座標系または直交座標系)と地理座標系に分けることができる。

 

地理座標系

 

地理座標系はとても一般的に使用されている。地球の表面の位置を表すために、緯度と経度、そしてたまに高度が使用される。最も一般的なものはWGS84と呼ばれる。

 

緯線は赤道と平行に走り地球を北から南(南から北)に180等分する。緯度の基準線は赤道で、それぞれの半球は90の区画に分類され、それぞれが経度1度を表す。北半球では、経度は赤道の0度から北極の90度まである。南半球では、経度は赤道の0度から南極の90度まである。地図の数字化を単純にするために、南半球の経度にはマイナスの値(0から-90)が割り当てられることがよくある。地球上のどの位置にいたとしても、緯線の間隔は同じである(60海里)。図57の絵画図を参照。

緯線は赤道と平行に走り地球を北から南(南から北)に180等分する。緯度の基準線は赤道で、それぞれの半球は90の区画に分割され、それぞれが緯度1度を表す。北半球では、緯度は赤道の0度から北極の90度まである。南半球では、緯度は赤道の0度から南極の90度まである。地図の数字化を単純にするために、南半球の緯度にはマイナスの値(0から-90)が割り当てられることがよくある。地球上のどの位置にいたとしても、緯線の間隔は同じである(60海里)。図57の絵画図を参照。

 

 

57:地理座標系には赤道に平行な緯線と、グリニッチを通る本初子午線のある経線が描かれている。

 

経線は、これに反して、画一的基準にうまく適合するほどのものが存在しない。経線は赤道と極の範囲に対して直角に走っている。経線の基準線(本初子午線)は北極から英国のグリニッチを通り南極まで走っている。それに続く経線は本初子午線の東側ないし西側は180度まである。本初子午線の西側の値は数字化された地図アプリケーションでの使用にあわせてマイナスの値が割り当てられている。図57の絵画図を参照。

経線は、これに反して、画一的基準にうまく適合するほどのものが存在しない。経線は赤道に対して直角に走り、両極で合流する。経線の基準線(本初子午線)は北極から英国のグリニッチを通り南極まで走っている。それに続く経線は本初子午線の東側ないし西側は180度まである。本初子午線の西側の値は数字化された地図アプリケーションでの使用にあわせてマイナスの値が割り当てられている。図57の絵画図を参照。

 

 

赤道上だけのことであるが、一本の経線で表される距離は1度の緯度であらわされる距離に等しい。極に向かって移動するごとに、経線間の間隔の距離は、極の正確な位置まで徐々に短くなり、すべての360度の経線は指を置ける(しかしおそらく手袋をしたくなると思う)程の単一点で表される。測地系を使用すれば、赤道地点で地球をそれぞれおおよそ12363.365平方キロメートルの広さをカバーする正方形に分割する格子状の線を得ることになる。手始めとしてはよいが、正方形の内部にある様々なものの位置を決定するにはそれほど便利ではない。

 

本当に使いやすくするためには、地図の格子は十分小さく分割される必要があり、それによって(受け入れられる正確さをもって)地図上の地点の位置を表現するのに使えるのである。これを実現させるためには、度は分「」と秒「」に分割される。1度は60分で、1分は60秒(1度は3600秒)である。そのため、赤道における緯度1秒または経度1秒は30.87624メートルである。

 

投影座標参照系

 

2次元の座標参照系は一般に2つの軸によって定義される。お互いに直角で、いわゆるXY平面を形成する(図58の左図を参照)。水平軸は通常Xと呼ばれ、そして、垂直軸は通常Yと呼ばれる。三次元の座標参照系では、もうひとつの通常Zと呼ばれる軸が追加される。ZX軸とY軸に直角である。Z軸は空間の3つ目の次元を提供する(図58の右図を参照)。極座標の中で表現されるすべての点はXYZ座標として表される。

2次元の座標参照系は一般に2つの軸によって定義される。お互いに直角で、いわゆるXY平面を形成する(図58の左図を参照)。水平軸は通常Xと呼ばれ、そして、垂直軸は通常Yと呼ばれる。三次元の座標参照系では、もうひとつの通常Zと呼ばれる軸が追加される。ZX軸とY軸に直角である。Z軸は空間の3つ目の次元を提供する(図58の右図を参照)。極座標で表されるべての点は、XYZ座標でも表すことができる。

 

 

582次元と3次元の座標参照系

 

南半球の投影座標参照系(赤道の南側)は特定の経度となる始点を赤道上に通常持っている。このことは南方向に行くに従いYの値が増加し、西方向に行くに従いXの値が増加することを意味する。北半球(赤道の北側)も同様に始点は特定の経度となる赤道上の地点である。しかしながら、この場合、北方向に行くに従いYの値が増加し、東方向に行くに従いXの値が増加する。以下の章では、南アフリカ向けによく使用されるユニバーサル横メルカトル図法(UTM)と呼ばれる投影座標参照系について述べる。

 

ユニバーサル横メルカトル(UTM)CRSの詳細

 

ユニバーサル横メルカトル(UTM)座標参照系は特定の経度となる始点を赤道上に持っている。この場合、南方向に行くに従いYの値が増加し、西方向に行くに従いXの値が増加する。UTM CRSは全地球的な地図投影法である。このことは、通常世界全体で使われていることを意味する。しかし、以前に「地図投影法の正確性」の章ですでに述べたように、エリア(たとえば南アフリカ)が大きくなるほど、角度の一致、距離、面積のひずみが大きくなる。ひずみが大きくなりすぎるのを避けるために、世界を東から西への経度で6度の幅を持つ60等分したゾーンに分解する。UTMソーンは図59に示されるように、1から60までの番号が割り振られ、国際日付変更線(西経180度のゾーン1)に始まり、東側へ逆に進み国際日付変更線(東経180度のゾーン60)に到着する。

 

59:ユニバーサル横メルカトルゾーン。南アフリカにはゾーン33S34S35S36Sが使用される。

 

59と図60に示されるように、ひずみを最小限にするために4つのUTMゾーンでカバーされる。それらのゾーンはUTM33SUTM34SUTM35SUTM36Sである。ゾーン番号の後ろのSはそのUTMゾーンが赤道の南側に位置していることを意味する。

 

例えば、図60にある赤い十字で記された関心領域(AOI)の中に2次元の座標を定義したいとする。関心領域がUTMゾーン35Sの中に位置していることがわかる。このことは、ひずみを最小にし、正確な分析結果を得るためには、UTMゾーン35Sを座標参照系として使用すべきであることを意味している。

 

60:中心経度(子午線)をUTMゾーン33S34S35S36SとするUTMゾーンは南アフリカを高精度に描写するのに使用される。赤い十字は関心領域(AOI)を示す。

 

赤道南側のUTM内の座標位置はゾーン番号(35)とメートルであらわされた偏北(y)距離と偏東(x)距離で示されなくてはならない。偏北距離は赤道からの距離の位置をメートルで表したものである。偏東距離は使用されるUTMゾーンの中心子午線(経度)からの距離である。図60に示されるようにUTM35S27度東である。さらに、赤道の南側に位置し、UTM座標参照系においてはマイナスの値が許可されていないために、縦軸偏移量と呼ばれる10,000,000mを偏北(y)距離に、500,000mの横軸偏移量を偏東(x)距離に加えなければならない。

 

これは複雑なように聞こえるので、関心領域のために正しいUTM35S座標を見つける方法の例を示す。

 

偏北(y)距離

探している場所は赤道から3,550,000メートル南にあり、それゆえ、偏北(y)距離はマイナス記号がつき-3,550,000mとなる。UTMの定義により縦軸偏移量の10,000,000mを加えなければならない。このことは、目的の座標の偏北(y)距離は6,450,000m-3,550,000m + 10,000,000m)であることを意味する。

 

偏東(x)距離

最初に、UTMゾーン35Sの中心子午線(経度)を見つける必要がある。図60にあるようにUTMゾーン35S27度東にある。探し出そうとしている地点は中心子午線から85,000メートル西にある。偏北距離と同じように、偏東(x)距離もマイナス記号がつき、結果として、-85,000mとなる。UTMの定義により横軸偏移量の500,000mを加えねばならない。これは、目的の座標の偏東(x)距離は415,000m-85,000m + 500,000m)。最後に、正しい値を得るために偏東距離にゾーン番号を加える必要がある。

 

結果として、UTMゾーン35Sで描写される目的の地点の座標は35 415,000mE / 6,450,000mNと表現される。いくつかのGISでは、正しいUTMゾーン35Sが定義されシステムの中で単位がメートルにセットされている場合、座標は簡略化して415,000 6450,000としてもあらわされる。

 

オンザフライプロジェクション

おそらく想像できると思うが、GISで使用したいデータが違う座標参照系に投影されているというような状況が存在するかもしれない。例えば、UTM35Sに投影された南アフリカの国境を示すベクトル層と測地系WGS84で提供された降雨の地点情報を持つ別のベクトル層を入手した場合などである。GISにおいてはこれら2つのベクトル層は、異なる方法で投影されているので、地図ウィンドウのまったく異なるエリアに配置されている。

この問題を解決するために、GISの多くがオンザフライプロジェクションと呼ばれる機能を持っている。このことは、GISを開始するに当たりある投影法を定義し、そして、どのような座標参照系で投影されているかに関係なくすべての層を読み込んだときに、定義した投影法の中に自動的に表示されることを意味する。この機能は、異なる参照系であったとしても、使用するGISの地図ウィンドウの中に層をオーバーレイすることが可能になる。

 

共通問題 / 認識しておくべきこと

地図投影の問題は非常に複雑で、地理学、測地学、その他のGISに関連する科学を学んだ専門家たちでさえ地図投影や座標参照系の正しい定義に困難さを覚えることがよくある。一般的にGISで作業する場合は、開始するにあたって投影データはすでに持っている。多くの場合それらのデータというのは特定のCRSで投影されているだろう、そして、新たにCRSを作成する必要がなく、また、あるCRSから別のCRSにデータを再投影する必要さえない。つまり、地図投影やCRSがどのような意味を持っているかというアイデアを持っておくことは常に有用なことである。

地図投影の問題は非常に複雑で、地理学、測地学、その他のGISに関連する科学を学んだ専門家たちでさえ地図投影や座標参照系の正しい定義に困難さを覚えることがよくある。一般的にGISで作業する場合は、開始するにあたって投影データはすでに持っている。多くの場合それらのデータというのは特定のCRSで投影されているだろう、そして、新たにCRSを作成する必要がなく、また、あるCRSから別のCRSにデータを再投影する必要さえない。とはいえ、地図投影やCRSがどのような意味を持っているかというアイデアを持っておくことは常に有用なことである。

That said の意味に注意。要旨をふまえることが大切。「投影法を完全に理解するのは難しい。ただ、あなたがGISで実務をこなすにあたっては、投影法のことは心配しなくていい。たいていは、投影済みのデータがわたされるだろう。そこからスタートすればよい。あなた自身が、生データに投影処理を施すことは、ほとんどない。投影法を変換しなきゃならないような状況も、あまりないだろう。とはいえ、地図投影法とは何か、CRS とは何か、知っておくことは。必ず役に立つ(だからここで学んだことは、無駄ではない)。

 

何を学んだか?

このワークシートに述べられている内容を要約してみる:

  地図投影は地球の表面を2次元の平らな紙やコンピュータスクリーンに描写することである。

  全地球的な地図投影も存在するが、地図投影のほとんどが地球の表面のより小さなエリアを投影するように作られかつ最適化されている。

  地図投影は球状の地球を絶対的正確さを持って表現するものではない。角度の一致、距離、面積にひずみを持っている。1つの地図投影の中にこれらの特徴のすべてを同時に保持することは不可能である。

  座標参照系(CRS)は座標の働きにより、2次元に投影された地図が地球上の本当の位置にいかに関連付けられているかを定義する。

  地理座標系と投影座標系の2種類の異なる座標参照系が存在する。

  オンザフライプロジェクションは、異なる座標参照系で投影されていても層のオーバーレイを実現するGISの機能である。

 

試してみよう!

 

生徒たちと試すためのアイデアを以下に紹介する。

  QGISを起動し、異なる投影法で描かれた同じエリアの2つの層を読み込み、生徒たちに2つの層の上で幾つかの地点の座標を探させる。2つの層をオーバーレイできないことを示すことができる。プロジェクト属性ダイアログの中で座標参照系をジオグラフィック/WGS84に設定し、「オンザフライCRS変換を可能にする」チェックボックスをオンする。もう一度同じエリアの2つの層を読み込み、オンザフライプロジェクションがどのように働くかを確認させる。

  QGISのプロジェクト属性ダイアログを開き、生徒たちに多くの座標参照系を示し、この項目の複雑さについてのアイデアを理解させる。「オンザフライCRS変換」が有効になっていると、異なる投影法の中で同じ層を表示させるために異なるCRSを選択できる。

  QGISのプロジェクト属性ダイアログを開き、生徒たちに多くの座標参照系を示し、これがいかに複雑な話題かをわかってもらう。「オンザフライCRS変換」が有効になっていると、異なる投影法の中で同じ層を表示させるために異なるCRSを選択できる。

   

 

考えるべきこと

コンピュータがなかったとしても、生徒たちに3つの地図投影ファミリーの原理を示すことができる。地球儀と紙を手に取り、円筒型、円錐型、平面的投影が一般的にどのように見えるかを実演する。透明なシートを利用するとX軸とY軸を示すことで2次元の座標参照系を描くことができます。そして、生徒たちに異なる地点の座標(XYの値)を定義させる。

 

参考資料

 

書籍:

  Chang,Kang-Tsung(2006):Introduction to Geographic Information Systems.3rd Edition.McGraw Hill.(ISBN0070658986)

  DeMers,Micheal N.(2005):Fundamentals of Geographic Information Systems.3rd Edition.Wiley.(ISBN9814126195)

  Galati,Stephen R.(2006):Geographic Information systems Demystified.Artech House Inc.(ISBN158053533X)

 

ウェブサイト:

http://www.colorado.edu/geography/gcraft/notes/mapproj/mapproj_f.html

http://geology.isu.edu/geostac/Field_Exercise/topomaps/index.htm

QGISのユーザガイドもGQISで地図投影の作業を行ううえでのより詳細な情報を収録している。

 

次章について

 

次章では地図投影についてさらに詳しく見ていく。

次章では地図作成について詳しく見ていく。

Map projection ではなく Map production